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反撥
a0035483_23203041.jpgREPULSION(1964年イギリス)

時計の秒針。腐る兎。芽が出るじゃがいも。電話のベル。シーツの口紅。朽ちる壁。罅割れる。

汚い男。男は汚い。触らないで。汚さないで。


61歳にして今なお美しいカトリーヌ・ドヌーヴ。こないだ『8人の女たち』を見ましたが、相変わらずの美しさに加えて、なにやら相当大女優っぽい貫禄が出てて、ちょっとびっくりしました。わたしの中でドヌーヴっていうとやっぱり60年代で。シェルブール、ロシュフォール、暗くなるまでこの恋を、昼顔くらいの印象が強い。最近でもせいぜい終電車くらい(ていうか今調べたらこれって80年の映画だった。全然最近じゃないじゃん)。中でも大好きなのがこの『反撥』。

話はこんなかんじ。ロンドンのサロンに勤めるキャロル(ドヌーヴ)は美人だが内気。姉のヘレンと二人暮し。ヘレンは妻子ある男と愛人関係になってて、毎日のように家に連れ込んでいた。キャロルは男の歯ブラシと髭剃りナイフが洗面所に置かれているのが嫌でたまらない。夜になって姉の部屋から漏れ聞こえるセックスの音にも我慢ならない。神経質で潔癖なキャロルが抱く、男性に対する嫌悪感は日増しにエスカレートして行き、その一方でセックスに対する憧憬も増大していく。

恐い。恐すぎる。なにが恐いって、このドヌーヴが崩壊していく様子が恐い。本当に、リアル。自分が落ちてるときには絶対見たくない映画。そのくらいリアルすぎます。なんだか映画だってことを忘れるくらいです。映像も、ドヌーヴのしぐさのひとつひとつも全てがよくて。それに加えて、執拗にドヌーヴを攻め立てるサディスティックな演出。現実と狂気をつなぎとめる役割も果たしている、音と音楽の効果。壁から出てくる無数の手、鏡に映る男。ただ、時計の秒針だけを背景にしたレイプシーン。水の滴る音。静寂を破る電話のベル。でもなによりカトリーヌ・ドヌーヴの美しさ。ブロンドの髪でナイトウェアで部屋中を彷徨うモノクロ映像。乱れた髪、何も映っていない虚ろな瞳。途中何度も見せておいて、そして一切説明せず、ラストに再びクローズアップしていく幼少の頃の家族写真。本当に恐い。

私が恐いと思う映画って、この『反撥』と『シャイニング』くらい。『シャイニング』が恐いと思えた方はぜひ見てみてください。
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by manamizw | 2004-10-19 23:31 | 1960s