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だらしのないたべもの
ひとくちゼリィを一袋買って、冷凍庫で凍らせた。なかなか凍らなくて、半分だけ凍った状態で、食べた。わたしは彼の膝に座っていて、彼がゼリィを食べる様子を見ていた。

彼が口に入れたゼリィは、わたしの口に移動する。半どけで、半分堅くて、半分やわらかいゼリィが、次第に冷たさを失っていく。わたしはもったいなくて飲み込めない。口の中で、どんどんあたたかく、やわらかくなっていくゼリィのだらしなさが、愛しくてたまらない。いつまでも舌の上でゼリィの感触を味わっているわたしに気づかず、彼は次のゼリィを入れようとする。わたしはあわてて一つ目のを食べる。そして彼にお願いする。「とけたらちょうだい」

彼の体温で完全にとけたゼリィはぬるくて、そのなまあたたかな温度はわたしを魅了して、やっぱり飲み込めない。やっと気づいた彼が、わたしの口からそのゼリィを奪う。

「…ぬるい」
「じゃあ返して」



あんなにエロティックな食べ物を食べたことがない。わたしは彼と別れてから、ひとくちゼリィを食べられなくなってしまった。
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by manamizw | 2004-10-21 21:18 | be in love