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ゴーストワールド
a0035483_4182085.jpgGHOST WORLD(2001年アメリカ)
@all-time favorite


この映画、いわゆる十代の青春ものってやつなんですけど全然明るくないし きゃいきゃいしてないし むしろすっごいだめだめで暗くて後ろ向きで、かといって救いがないかっつうとそういうわけじゃなくて(『KIDS』『ガンモ』『アナザー・デイ・イン・パラダイス』なんかの感触とは全然違う。あ、『ADIP』は結構好きな映画ですが)でもやっぱり救いがあるわけでもない。

以下、ネタバレあり。(超長文!)





でもさー、そもそもこの年代に救いなんてあったっけ?
明るい見通しなんてあったっけ?
高校卒業して「高校生」っていうラクなカテゴリなくなって
そのすぐ後に「大学生」とか「社会人」のカテゴリにすっと入っちゃえば
それはそれでいい。とりあえず不安は先送りされる。
でももしそういうカテゴライズがなくなっちゃったら自分ってなんなんだろう。

大学中退したときのわたしは属するカテゴリがなくなって
まさにこのイーニドのまんまでした。
焦燥感だけが募る。
まわりはバカばっかりだし。
なにもない。なにかがほしい。
でもなにもほしくない。
だって世の中のたいていのものってダサすぎる。
そういうのに折り合いつけるなんて死んでも嫌。

イーニドが行動に移さずに不満ばっかりたれているのは
行動に移して自分に価値がないことを自覚させられるのが嫌だから。
ほんとは自分がどんだけ空っぽなのかを認めるのが恐い。
自分に自信がないことを見破られるのが恐い。
だから回りを否定するしかない。批判するしかない。
好きなものより嫌いなものを認めるほうが楽だから。

イーニドは現実から逃げ回ってばっかりいる。
「いいと思うもの」を選べない。
そもそもそれが「いい」のかどうかに自信が持てない。
だから「最悪よりまし」かどうかが判断基準になる。
だからマキシーンが同居することに父親が決めたとき、
初めて美術学校の推薦を受けようという気になる。
でもそれが駄目だと知ったときに
都合よくやさしくしてくれるシーモアに寄りかかる。
でもシーモアが本気になってくるとひく。
シーモアが重くなったから、レベッカに
やっぱり一緒に暮らそうと頼み込む。
適当に就職して引越の準備を始めると
これも違うと思って逃げる。
ほんとだめだめじゃん。だめだ、重なる。痛い。

イーニドとレベッカの人を小馬鹿にした視線とか最高によい。
前に進むレベッカと進めないイーニド。
今まで親友だと感じてた人と急に距離を感じる瞬間ってあるけど
その間みたいなのが痛いくらい出てた。つうかまじ痛い。

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ラストのシーンは見る人によっていろんな解釈ができるようですが、わたしはこれを現実を見据えたイーニドの心象風景と取りました。

「わたしの1番の夢はね、ある日突然誰にも言わずにどこかに旅立つ 姿を消してそれきり消息を絶つの」
というイーニドのせりふがありましたね。


そして「なにがあってもここにいるから心の支え」だったバス停のおじいちゃんが、バスに乗り込む姿を見たときのイーニドの顔は、現実への絶望というより、あきらめに似た割り切りに思えました。

イーニドの求めている都合のよい、傷つかない世界はゴーストワールドに過ぎない。
だからゴーストワールドを求める自分はどこか旅に出しちゃって、
不本意でも現実と折り合いつけていく決心を固めた。
まぁこれは見る人の状況や状態や環境で解釈するものだと思いますけどね。

ちょっとした脇役(うざい同級生とか父親とかその彼女とか
ヒッピーあがりの鬱陶しい美術教師とか、
後ろ通り過ぎるだけのデブとか、そんなとこまでひっくるめて)
までいちいちキャラが立ってておかしい。
余談だけどビデオ屋の店員、この濃い顔もしかして?と思ったら
やっぱり『マルホランド・ドライブ』に脇役で出てた人でした。
(気づいたわたしってえらくね?)
でもやっぱりブシェミがよい!なんか色気すら感じてしまうんですが。
こんな人が近所にいたら気になって気になって
そしてやっぱり結局好きんなっちゃうね。

セリフもいい。日本語訳もそこそこおっけー。
戸田なっちじゃなかったのが救いだったかも。
(字幕翻訳:石田泰子)
「ウチら」とかなっちは絶対無理。

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読んでくれた方サンキューです!
テリー・ツワィゴフの新作『バッドサンタ』は12月4日からライズ公開!

ゴーストワールドオフィシャル(英語)
オフィシャル(日本語)
英語のが好み。


しかし「ゴーストワールド」「ヴァージン・スーサイズ」「南瓜とマヨネーズ」が
ライフログって、なんか成長しきれてない後ろ向きなかんじがばんばん出まくっててちょっと嫌。
それが自分と受け入れて開き直ってるけど。暗いんですよわたしほんと。
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by manamizw | 2004-11-20 04:39 | cinefil