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PEEP "TV"SHOW
a0035483_2485253.jpgPEEP "TV"SHOW
(2003年 日本)
2005/4/1@渋谷シネ・ラ・セット


WTCに火の玉が突っ込んで、2843の人間が地獄行き。その光景はあまりに美しく、僕はビール片手にテレビに釘付け。
すべてが気狂いじみている。
だから僕は、瓦礫の下の死体を覗く。

■あらすじ(てきとう)■
911同時多発テロの映像を美しいと感じてしまった長谷川。
自分にとってのリアルを求めるように、盗撮という行動を選び
その映像をPEEP"TV"SHOWというサイトで公開している。
空虚さをロリータコスプレで埋めようとして、埋まらない萌は
サイトを知り、長谷川に会う。

以下、ネタバレあり。それと、同時多発テロについて心のどこかで「映画みたいだ」と思わなかった人はこの先読まないでください。





映画の日だったので、『エターナル・サンシャイン』と『サマリア』とで迷って
結局これを観ることにしました。
自分から積極的に映画を観に行ったのは、久しぶりな気が。

物や人との出会いに、タイミングってあるでしょう。
この映画はそのタイミングがまさにぴったりと出会って知った映画。
詳細は省くけど、ばらばらに存在していた色んな物が、
かちりと音を立ててひとつになった、そしてわたしは
この映画を観るべくして観たのだ、とまぁそんなかんじ。

a0035483_3213862.jpgこの手の映画って、下手すると微妙な感じが残ってしまう気がするんですが、これは文句なしに面白かった。観てる最中も引き込まれていて、「やっべーおもしれーよ」と思いつつ観てました。

共感、っていうのとは違うんですが(だってこの感覚って多かれ少なかれ、今を生きてる人は大抵みんな感じていることだと思うから)感情移入度は高い。


なんていうか、日常の空虚さを、ここまで描くか、と。
この空々しさは、わたしだけのものではないんだろうなぁと、実感した。
周りに溢れる非リアルを、リアルに切ってしまったんだっていう。そんなかんじ。
つまり、「感じられない」ことの空しさを、強く「感じさせてくれる」映画だった。

同時多発テロの映像は、わたしも映画みたいと思っていた。
崩壊していくビルの映像はあまりにも完璧すぎた。

だから、TVに釘付けになったのはわたしも一緒だ。
新しい角度で撮られた映像が入るたびに、真剣に見つめていた。
何度見ても飽きなかった。今でも飽きていないかもしれない。
ただ自分の中で感じたその気持ちを、気づかないふりをしていただけだ。
罪悪感か、偽善かは知らないけれど。
わたしはこの映画の監督のように、そう感じてしまうことについて
「なんかがおかしい」とは気づきもしなかった。

何度見ても見ても、得られない現実感を、得るために、
わたしはマグナムが撮った911の写真展に行ったり、
セプテンバー11を何度も見たり、したのかもしれない。
でもその結果、現実感を得たのかと言えば。
得るわけがないだろう。
痛ましい、とは思う。ただそれだけなのだ。
被害者の人やその周りの人を、気の毒だとは思う。
でも現実感はない。


***

どうして、いろんなことがこんなに希薄なんだろうと思うのですよ。
そりゃあそれなりに、色々なことを感じてはいるのだと思うのですが、
薄いんです。感じが。
どうしたらもっと強く、なにかを実感できるんでしょうか。

もし、刃物でわたしの外側の皮膚を切り開いたら
血など出てこない気がするのです。
外気に触れた途端に蒸発してしまうような
なにかすごく揮発性の高いものを、
揮発させないために皮膚で囲っているだけのような気がしてしまいます。


a0035483_3244466.jpg萌がオンラインで自分の生活をカメラで中継し流し晒すのも、(まぁわたしだってこうやって日記をここで晒しているのですから同じなんですが)自分が存在していることをほかに証明できないという感覚の表れな気がします。

萌なんですが、一応彼氏っぽい人がいるんだけどその彼氏が自分の友達とやってるとこを見ちゃうんですね。でも反応が薄い。「何も感じない」と言う。

で、その友達も自分の日記をネットで晒していて
「親友の彼氏とヤった」みたいなことを書いている。
その子もその子なりに(これがまぁえっらいぶさいくで
しかもマグロなんですが、どこがいんでしょうね?それはまぁおいといて)
生きてる実感がないんだろうなぁと。

じゃあわたしは。

わたしはどうよ。
それをずっと考えています。
この映画を観てから、2週間以上経つ今も。
そのぐらい色々と感じて考えさせられた映画だった。

最後のせりふは、現実は果たしてどこにあるのかということを
気づかせてくれました。

つまり、ここ。

でも、わたしはまだどうしたらいいのかわかりませんが。
それでもこの映画を観られてよかったです。


a0035483_33581.jpgところでこの日は、上映終了後にトークショーがついてました。監督の土屋豊(真ん中)と、共同脚本の雨宮処凛(右)と、ゲストでノンフィクション作家の吉岡忍(左)。

この吉岡忍さんの言った、「非現実感はそんなに悪いことなのか?」(ちょっと言葉違うかも)みたいなことが、また考えさせられる内容で、ほんとひきずりまくりな映画です。

公開は今週金曜22日まで。
リピーター割引を実施しているのでもう1回くらい観に行きたいんだけどな。

ここで予告が観られます。(real)

オフィシャル
PEEP"TV"SHOW
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by manamizw | 2005-04-19 03:27 | cinefil