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似ていて好き
うつろう季節が、太陽と影とが
世界をさまざまに変えている、にぎやかに
いろどり、雲が道をふさぐ。

とりどりの変化を、ぼくの目は
かぎりなくいつくしんできたのだが、今日、
悲嘆に身をまかすべきなのか、わからない。

この事実を前に降参すべきなのか。
これほど悲しいというのに、すばらしい天気。
ただ、ぼくの胸には、陽が照り、雨がふる。

ぼくは、ながい冬を春に変えることもできる。
陽のあたる道は、金色にのびる一本のすじ、
自分にむかって夜のあいさつをしてみたり。

ぼくの場合は、霧も晴天もぼくのなかだけにある。
あの完璧な愛も、あるのはぼくのなかだけ。
そのために、苦しみはするけれど、泣きはしない。
目と心さえあれば、ぼくはいい。

(『トリエステとひとりの女』より『孤独』)
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by manamizw | 2005-06-08 23:19 | books