Top
『サマリア』を観て思い出した、あの花火の日のこと


a0035483_3154321.jpg






(画像は『サマリア』)









友達の名前。
高1で知り合った子。
『サマリア』を観て、思い出した。

花火の日。13歳年上の、初対面のおにいさんおねえさんらと、
初めて飲んだ日本酒、デッキチェアと、ホテルのトイレ、ひろが着てた浴衣の柄。
風が全然ない日で、煙がいつまでも空に残っていて
次の花火の邪魔をしていた。



わたしが通っていた高校は女子校で
そのへんでは一番偏差値高い進学校だった。
学校名を言うと「あぁ頭いんだね」って言われるような、そういう学校。
だからだと思うけど、校則なんてないようなもんで
授業以外じゃ先生も生徒にかなり甘くて、過ごしやすい学校だった。

それでも同じ手口を何十回と繰り返して
さんざん授業さぼってるのがバレたときは
それなりに怒られたけど。
わたしはよく学校をさぼってた。ひろと一緒に。

さぼってどこに行くかといえば、
カラオケか、買い物(見るだけ。化粧品とか)か、近くのモス。
でも一番行ったのは、ひろの家。
家行って、なにしてたかっつうと
とにかく、話してた。
夜になったら酒飲んで話してた。

わたしとひろはよく一緒におふろに入った。
夏は水風呂で。
旅行とか、温泉とか、そういうんじゃなくて
「家のおふろ」に一緒に入った女の子は、
いまだにひろしかいない。

泊まりに行ったときは、家族が寝静まってから
二人で外に遊びに出た。
ひろの服借りて、ひろの化粧品で化粧して、
窓から靴持ってこっそり外出て
予め呼んでおいた男友達と合流した。
何も悪いことしてないのに
まるで悪いことしてるみたいな高揚感、
そういうのがすごい楽しかった。

学校でも一緒だし
家帰っても電話してるし
何をそんなに話すことがあるのかと親に言われたことがある。
つーか
話すことなんか山ほどあった。
それでもまだ時間が足りないくらいに。

a0035483_3361374.jpg









ひろは「彼氏」じゃない男の人とよく寝ていた。
普通じゃない出会い方で、適当に相手を探してた。
たいてい年上で、父親と同じような年代の人もいた。
(つってもひろに父親はいなかったけど)。
援助、とかじゃなかった。
服買ってもらったり物買ってもらったりはしてたけど
それ目当てでそういうことをやってたんじゃなかった。
「なんかどうしようもなくなる」
ひろはよくそう言った。

それに対してわたしは別に咎めなかった。
嫌だとも思わなかった。
本人がよければいんじゃん、
くらいにしか思ってなかった。

いや、ていうよりは
頭カタそうなことを言いたくなかっただけかも。
それにわたしはそのときまだ処女だったし
わたしにはわからないけど
そういうものなのかなぁとか思っていたから。

男を絶やさないひろは
わたしの男も絶やさせなかった。
タカシがいいなって言ってたよ、つきあわない?
とかなんかいつもそんな感じで。
わたしも特に何も考えずにつきあった。
女子校だから必然的に他校になるから
毎日会う煩わしさとかなかったし
ただ恋愛ぽいこと好きだったし
(今と変わんないな)
「彼氏」っていう存在に重みなんてなかった。
初めてしたセックスにも重みなんて全然なかった。
わたしはただ、好きとかやりたいとかそういうのよりも
ひろと同じところに立ちたかっただけなのかもしれない。

でもどんだけ仲良くしてても
わたしたちの間にある遠慮のような壁は消えなかった。
どんなに好きな友達でも
全部を共有しようとまでは思っていなかったから。
何でも全部話してよ、とかそういうのは傲慢にしか思えなくて。
どうしても消えない壁っていうのは、きっとわたしが消さずに残しておいたんだろうと思う。




あの夏、ひろの「彼氏」は13歳年上だった。
一緒に行った花火大会で、彼女は流産した。
恐らく何もしてほしくはないだろう彼女を前にして
本当に何もできずにいる自分がすごくすごくすごく嫌だった。
何もできないのがわかっているから
そこにいるのも嫌で
ただひたすら嫌で




だってわたしは
彼女が妊娠していたことすら知らなかったんだ






話してくれなかったこと
話せなかったこと
気づけなかったこと
聞いてあげなかったこと
全部が悔しくて悲しくて本当に自分が嫌になった



話さなかったのはたぶん

わたしが話させなかったから

だから。

一番近かったはずの友達が
遠くに感じた
そしてそれは
わたしが選んだんだと思った





『サマリア』観て思い出したなんて嘘に決まってんじゃん。
思い出すためには忘れなくちゃいけない。
忘れるわけがない。
わたしはひろが大好きだったんだ。
もしひろが同じように窓から飛び降りたら
わたしもきっと同じように、ひろが寝た男全員と寝てしまう。
(その前に、一緒に行く旅行の旅費のためだったなら
ひろだけに体を売らせたりはしないけど。)

余計なことがよぎるから、映画観た気がしなかった。
キム・ギドクが嫌いになりそうなほどの映画だった。
[PR]
by manamizw | 2005-08-05 04:10 | days