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女生徒 太宰治
a0035483_112614100.jpg過剰な自意識が自分の動きを封じてしまう。
いつも自分を演じていて、ほんとうの私は誰にも見せられない。
自分の醜さに、嫌気が差す。
こんな自分が生きていく価値なんてない。
生きる理由もないし。
何も考えてなさそうな屈託ない明るい人を演じる内側に
すごくどろどろしたものがあって、
なにかの拍子に噴き出してしまいそうになってこわい。
でもいっそのこと全部噴き出てしまえばいいのに。
もうこんなことをいつもいつも考えていることが嫌でたまらない。

太宰の『人間失格』を読んだときの衝撃は忘れられない。
こんなにも汚らしく醜くあさましい自分、と似たように生きてきた人がその中にいたから。
そのときから私の心の中に太宰のスペースが生まれた。

この『女生徒』も、毎日つらつらと考えていることがあまりにも似ていて
やられた、と思った。
なんで太宰はこんなものを書けるのか。

でも私とこの女生徒が違うのは
私は終わりのでない考え事で時間を費やしてただ生きているけど、
この女生徒は毎日をしっかり生きているということ。
本人は文中で
「こんなことばっかり考えてて、むしろ軍隊にでも入って
ただ睡眠を望むだけという生活をしてみたい」的なことを思ったりしているけど
私からしたらよほどしっかり生きてる。
ごちゃごちゃした内面のために毎日の生活がストップしたりしないもの。

でもなによりもこの作品が持つ乙女な雰囲気が大好き。
下着にこっそり薔薇の刺繍をしてひそかに得意になったり、
素敵な風呂敷をひざの上にのせて、誰かこの風呂敷に目を止めてくれる人がいたら
私はそれだけでその人に一生を尽くせる、なんて思ってみたり。

作品社出版の『女生徒』は、写真が佐内正史。
装丁の美しさと太宰治という組み合わせに惹かれて買ったものだけど、
すごくお気に入りの一冊。
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by manamizw | 2004-08-03 11:35 | books